社会・経済の動き

2025年7月15日トピックス

景気基調判断、約5年ぶりに「悪化」に

内閣府は5月の景気動向指数で、基調判断を「悪化」に引き下げた。「悪化」の基調判断は景気後退の可能性が高いことを示すもので、新型コロナウイルス禍の影響があった2020年7月以来4年10カ月ぶりとなる。4月の基調判断の「下げ止まり」から米国向けの輸出が減少したことや「有効求人倍率」の下落などで下降したことを反映したものとなる。内閣府では「コロナ禍と似た状況という意味ではなく、今後の指数の動きをより慎重にみるべきだとのサインだ」している。

5ヵ月連続で実質賃金は減少

厚生労働省は5月の毎月勤労統計調査で物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年同月比2.9%減少したと発表した。実質賃金のマイナスは5ヵ月連続で、減少幅も2023年9月以来、1年8ヵ月ぶりの大きさとなる。一方、名目賃金にあたる現金給与総額は1.0%増の30万141円で、41カ月連続のプラスとなっている。今年の春闘では連合傘下労組の平均賃上げ率は5.25%と高水準だったが、依然として、賃上げが物価上昇に追いついていない現状を浮き彫りにしている。

年金の運用実績、1.7兆円の黒字に

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2024年度の運用実績が1兆7334億円の黒字だったと発表した。前年度実積が45兆円超から大きく縮小したものの5年連続で黒字を達成した。黒字額が大幅に減少した要因として、欧米の主要中央銀行の利下げにより運用対象となっている外国株式の上昇など影響したものとみられ、2024年度の運用利回りは0.71%だった。GPIFでは「リスクに対して安定的な運用をしていきたい」と話す。

e-Tax利用率、過去最高の74%

国税庁が発表した2024年分の個人の確定申告状況によると、国税電子申告・納税システム(e―Tax)の利用率は過去最高となる74%だった。世代別にみると、20代以下、30代、40代で8割を超え、80代以上では61%だった。同庁はe―Taxの普及に伴い、確定申告期間中の日曜日に行ってきた税務署閉庁日の相談対応を今後、縮小や廃止を検討するとしている。また、e―Taxを巡っては虚偽申告で所得税の不正還付の詐欺事件も起きており、「警察と連携して厳格に対応する」としている。

2025年上半期企業倒産は高水準に

東京商工リサーチは2025年上半期(1~6月)の全国の企業倒産件数は4990件だったと発表した。前年同期比1.2%増で、2014年以来11年ぶりの高水準にある。新型コロナウイルス禍で行われた資金繰り支援策が終了したことも倒産増加の背景にあるとみられる。また、上半期は10人未満の企業の倒産が全体の89.8%を占めており、同社では「今後も従業員の確保が難しい状況が続けば、倒産件数は今後も増加傾向をたどる可能性がある」とみている。

卵価格、前年比1.7倍に急上昇

JA全農たまごの発表によると、鶏卵価格の目安となる卸売価格(東京地区、Mサイズ)は1キロ当たり335円となったことが分かった。前年7月平均の1.7倍に達し、これまで鶏卵価格の最高値は2023年4~5月の月平均350円だったが、その価格に近付きつつある。背景には、高病原性鳥インフルエンザの感染拡大に伴う鳥の殺処分による供給量の回復が遅れていることに加え、猛暑により鶏の食欲低下が鶏卵価格に追い打ちを掛けている。

訪問介護でのカスハラ被害は6割超

日本訪問介護財団が全国約1万2000件余の事業所を対象に訪問介護中に患者らからカスタマーハラスメント(カスハラ)の有無を尋ねたところ、回答した2628事業所の6割超が「ある」と答えていることが分かった。具体的な内容では、「怒鳴るなどの威圧的な言動」が最多の1439事業所で、職員の人格否定などの「精神的な攻撃」(1129事業所)、「性的な言動」(996事業所)が続いた。同財団では「訪問看護師の安全が脅かされれば、在宅医療の質にも影響が出かねない」と危惧を示している。

免税売上高、前年比4割減が3ヵ月連続

日本百貨店協会は5月の免税売上高は前年同月比4割減となり、3カ月連続で前年を下回っていると発表した。5月の免税売上高の内訳をみると、高級ブランド品を含む一般物品売上高が45.6%減となり、高額消費が半分近くに落ち込んでいた。また、1人当たりの購買単価は前年5月比約4万7000円減の約7万9000円で、加えて購買者数も5.4%減となった。購買客数も購買単価もマイナスに転じており、百貨店業績を支えてきたインバウンド(訪日客)消費に異変が起きている。


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記事提供元:(有)ホップステップ「新聞・経済のうごき@.yomu」


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